大根1つ=水2本のレートを勝手に制定した。誰も逆らえない。中央銀行より仕事が早い。
「我々が食事にありつけるのは、肉屋や酒屋やパン屋の慈悲心によるのではなく、彼ら自身の利益への関心による。」 ── アダム・スミス
KAMN(おでん闇市の元締め)型の人々は、いかなる環境にも「市場」を発見する天才です。閉じ込められて48時間以内に、このタイプはおでんコーナーを制圧し、物々交換のレートを制定します。大根1つ=水2本。玉子1つ=水3本。しらたきは暴落中。誰も頼んでいないのに、経済が誕生しています。
重要なのは、KAMNのレート設定が意外なほど精緻であることです。需要と供給、保存性、栄養価——全てが織り込まれています。中央銀行が金利を1回動かす間に、あなたは大根レートを3回調整します。仕事が早い。誰の許可も得ていないことを除けば、完璧な中央銀行です。
KAMNの真の功績は、物資の「分配」を「取引」に変えたことにあります。一方的に配られる配給は人間を受動的にしますが、取引は人間を活動的にします。あなたの闇市が立った日から、店内には妙な活気が生まれました。みんな、大根のために働き始めたのです。GDPが発生しています。コンビニに。
しかし、市場は必ず格差を生みます。24日目、おでん資産を独占するあなたと、しらたきしか持たない下層階級の間で、ついに緊張が臨界点を迎えます。革命です。民衆は鍋を包囲し、レート表を破り捨て、大根を解放しました。あなたは失脚しましたが、不思議と恨まれてはいません。革命後の店内で、みんなどこか寂しそうに言うのです。「あいつの闇市、ちょっと楽しかったな」と。